MYSTERY RANCH Maniac

ミステリーランチの研究ブログ

国内先行オーダー会 2016

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大阪にて14日まで開催されていたMysteryRanch先行オーダー会に行ってきました。
残念ながらすべてのモデルが展示されているわけではありませんでしたが、去年の秋ごろから紹介されていた2016年モデルの実物をほぼ全て見ることが出来ました。

注目のWildernessシリーズも4月以降国内にて正規取扱されるとのことで、予約を受け付けていました。ただし、入荷のタイミングは今のところ年に一度のペースになるとのことで、これまたレアなアイテムとなりそうです。

ちなみにオーダー特典のノベルティはMysteryRanchとKletterwerksのロゴがプリントされたKleanKanteenのパイントカップでした。手元に届いたらまたレポートしたいと思います。

SHOT SHOW 2016

ラスベガスで行われていたShot Show 2016を取材した動画の中にMysteryRanchを取材したものがありました。

 
 
Shot Showは軍関係の製品が集まることから、同社もミリタリーラインをひっさげての出展だったようです。
動画で見る限りミリタリーラインのパックで目新しい物は見当たりませんが、動画中で紹介されているように個人用ファーストエイドキットポーチのIFAKにマイナーチェンジが行われたようです。従来はポーチごとPALSに取り付けたまま使用する方式でしたが、2016年度モデルでは一般的なIFAKに見られるようなポーチから中身のオーガナイザーが分離するような構造になるようです。

CABINET PACK

先日からお伝えしているMysteryRanchの新Wildernessシリーズですが、CrewCabの後継と思われるCabinetがAmmoland.comで紹介されています。名称はやはりモンタナ州にある地名から。

 
 
10年近くほとんど更新されてこなかったCrewCabですが、ここにきて新モデルとして生まれ変わるようです。
といっても、写真で見る限り相変わらずメインコンパートメントはパネルローディングタイプですし、今まで通りサイドポケットも健在のようであまり機能的には変化がなさそうなのが正直なところ(それだけ完成された設計であるということでもありますが)。
 
とはいえ、重量はGuide Light Frameのおかげで7.1ポンドから5.7ポンドと600gほど軽くなっています。
以前お伝えしたようにCrewCabではメインコンパートメントの作りに弱点がありましたが、そのあたりの使い勝手も改善されているのかが気になるところです。
 
(追記)
 
1/5~1/7まで行われていたATA ShowにてWildernessシリーズが展示されていたようで、Youtubeに動画が紹介されています。
 

PINTLER PACK

明けましておめでとうございます。

年明けから早速、今年度モデルの情報があがっています。
 
ソースは前回同様Ammoland.comより。

www.ammoland.com

前回の記事では外観のイラストと、内部の写真のみでしたが今回は外観の写真が公開されています。

また、先代のLongbowとは異なりMetcalfなどと同様にOverloadシステムを搭載することが記されています。

フレームとパックの間に荷物を挟み込んで運搬できるOverloadシステムはこれまで軍用のOverload 3Zipなどで採用されており、パック内部に収納しきれない長尺かつ重量のある得物をフレーム(背中)に近い位置で保持できるため非常に有用な機能です。ハンティング業界でもこうしたパックに収まりきらない得物(獲物)を何とか運びたいという要望は強かったらしく、CrewCabやKingCab(CrewCabにLongbowをつけられるようにしたもので、販売されたのかは不明。)が考案され、Metcalfのように簡易的なOverloadシステムを採用したものが登場するに至りました。

今回発表されたPintlerはMetcalfより一回り小さいクラスのパックですが、3ZIPを採用しているために使い方はだいぶ異なってきます。Metcalfのメインコンパートメントは獲物を収納することを想定して簡素なただの袋になっており、空荷の状態ではペチャンコになることも売りのひとつです。一方のPintlerはメインコンパートメントに3ZIPを採用しており、機材など素早く取り出したいものを入れるようデザインされていて獲物を入れるようにはできていません。

ハンティングのことはよくわかりませんが、恐らく機材を一杯持ち歩いて中型の獲物を狙うハンター向けなのがPintlerで、機材は最小限で大物を狙うハンター向けがMetcalfやMarshallと言うように細かなニーズに対応しているものと思われます。

 

筆者は以前から日頃の旅行・出張にOverload 3ZIPを愛用していて、Overloadシステムはお土産や現地でゲットした「獲物」を運ぶのに重宝していたのですが、軍用のOverload 3ZIPはそれ自体が重く取り回しに苦労することもしばしば。今回発表されたPintlerは、新しいGuideLightFrameと併せて軽量かつOverloadシステム搭載モデルという魅力的な選択肢を与えてくれそうです。

 

 

3-ZIP プロトタイプ 2000年代初期?

年の瀬も迫り、16年度モデルが待ちきれない今日この頃いかがお過ごしでしょうか。

今回は久々に撮影の時間がとれましたので、私のMysteryRanchコレクションから奇妙なモデルをご紹介します。

 
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現在ではMysteryRanchのトレードマークとなっている"3-ZIPデザイン"ですが、2000年の創業当初から存在していた訳ではありません。
Danaへのインタビューによれば、3-ZIPデザインはスキー板をバックパックに固定した状態でパック内部にアクセスできる様なデザインを模索するなかで生まれたデザインであったとされています。それがいつ頃のことだったかについては語られていませんが、mysteryranch.comにSweetPeaなどの3-ZIPファミリーが登場したのが2004年の末であったことから2000~2003年にかけて開発が行われたものと思われます。現在もそうであるように、すぐにはWEBサイトに反映されず幾つかのプロトタイプが出回っていたのでしょう。今回紹介するモデルはそんなプロトタイプのうちのひとつだと考えられます。
ちなみに当時のmysteryranch.comではMonkeyシリーズやBDSBに代表されるOutamaticsシリーズが販売されており、SweetPeaなどはFuturaシリーズとして掲載されていました。
 
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このプロトタイプはもともとはアメリカのアウトドアショップにサンプルとして展示してあったもので、閉店に伴い処分されたとのこと。
とはいえ、パック表面にびっしり縫いつけられたPALSは現行のASAPやKomodoDragonなどを彷彿とさせ、アウトドアグッズというよりは軍用品という印象です。
 
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最も目を引くのはジッパーの中央部にある舌のような構造。
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さらにその舌の上をまたぐ形でストラップが伸びており、上蓋にバックル留めされています。この部分のバックルのみ珍しくITW製。
 
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バックルを外すとストラップは垂直なジッパーの引き手に繋がっています。
そして、ベロを持ち上げると左右のジッパーが、片方は垂直ジッパーの左右それぞれ、もう片方は上蓋のジッパーと噛み合うようにセットされているのが見えます。言葉で表すのは難しいですが、3方向からジッパーが閉まるかなり特殊な構造です。
 
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上蓋を解放したところ。
ベロを引っ張っても上手く開けることはできず、左右それぞれのジッパーを開けなければいけません。
また、垂直ジッパーのレールは上蓋のジッパーレールも兼ねているので、無理やり引き上げればある程度上まで閉まってしまいます。
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比較までに、現在の3-ZIPはこの様に垂直ジッパーと上蓋のジッパーは独立しています。
 
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ちなみに、このベロの様なパーツは上蓋の切れ込みに差し込んでベルクロ留めされているだけで簡単に外せます。
ベロにはベルクロのオス・メスが重ねて縫いつけてありました。恐らく製作段階で間違ったのでしょう。「っべ〜、オスメス間違えちった〜。ま、重ねて縫いつけちゃえ〜」って感じでしょうか。テキトーすぎます。
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ベロを失うとこんな感じになります。
この状態ではまさに「こんなん隙間から雨入りまくりですやん」状態。
 
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インテリアはシンプル。
左右と底材はX-PAC、背面はおなじみのPALSとハイドレーション用のポケットという組み合わせですが、SpadeLockはまだありません。
残念ながら加水分解が進んでおり、内面はベタついています。
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ハイドレーション用のポケットはあるのにホースの穴がない?と思ったら左右に開いてました。さすがにこの辺は抜かりなし。
 
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トップリッドにはシンプルなポケット付き。
現行品の様なメッシュの底面ではなく、外装と同じコーデュラ。
 
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ハーネスは黒く、外観は現行のものと大きく変わりません。
チェストストラップはMonkyシリーズなどにみられる取り外しの利かないもの。
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ヨークの後ろ側にロゴパッチが控えめに縫いつけられています。
フレームシートは現在も軍用以外でみられるプラスチック板に金属棒がT字に縫いつけられた方式。
 
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背面のパッドには現在とは違い、ゴムでコーティングされた様な滑りにくいメッシュが使われています。
製造時にはどうだったのかわかりませんが、経年によるのか全体にゴワゴワとした質感で、ややベタついています。
ヨークにもタグはなく、製造日は不明です。
 
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LiveWingウェストベルトが装備されており、造りは現在と変わりません。
この辺りは当初から完成形だった様です。
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ウェストベルトのバックル。NationalMolding製で、02のモールドから恐らく2002年製と考えられます。
 
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底面にもX-PACが用いられています。
また、初期のSweetPeaや3DAPのように左右にリングが装備されています。
 
 
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ASAPと比較すると、やや大きめですが3DAPよりは小さいかなという微妙な大きさです。
PALSの数でいえば横幅はKomodoDragonに近いですが、高さはASAPほどしかありません。
 
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今回のプロトタイプモデルは、バックルなどから2002年以降、恐らくは軍との契約が始まる2004年以前に軍への納入を見据えて製作されたものと思われます。ということは、スキーヤー向けに製作されたと言われる3-ZIPですが、そのデザインがまとまる前からミリタリーを意識して開発を進めていた、ということになります。
MysteryRanchのプロトタイプのなかでも、3-ZIPの構造自体が現在と異なるものはこのモデル以外に見たことがありません。しかし、Danaへのインタビューでは3-ZIPを試作した当初はこのモデルのように3つのジッパーを一箇所へ集めるものだったことが明かにされており、矛盾しません。
雨水に対応できない弱点があったとも認めていることから、この奇妙なベロのような構造はジッパーの隙間を塞ぐ為の試行錯誤の過程で生まれたものである可能性があります。
また、垂直ジッパーをわざわざバックル留めしているのは、垂直ジッパーが独立せず末広がりになっているために荷物でパックが左右に膨らむと自然に開いてきてしまう弱点があったからではないかと推測しています。現在の垂直ジッパーは最後までまっすぐに閉じるため、左右に引っ張っても開くことはありません。
 
こうした工夫にも関わらず、ごちゃごちゃした構造がかえって素早いアクセスを難しくしたため、お蔵入りになったのだと想像されます。
 
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普段何気なく使っている3-ZIPですが、そのデザインに秘められた偉大なデザイナーの知恵と試行錯誤の一端に触れることができる貴重な一品でした。
 
それでは皆様よいお年を。
 
 
MysteryRanch 3-ZIP Prototype : ☆☆☆☆☆
 
☆☆☆☆☆ 情報が乏しく、モデル名・使用用途が不詳な物。
☆☆☆☆ カタログに記載はないが、ネット上に情報のある物。
☆☆☆ 過去カタログに記載されていたが廃盤となった物。
☆☆ 現行品だが国内での入手が難しい物。
☆ 正規取扱店で入手が可能な物。
★ 別注・限定品。