MOLE RATS?
今回は今年1月に行われたSHOT SHOW 2018にて展示されていた謎のバックパックについて。
事の発端は以下から。
http://www.monch.com/mpg/news/shot-show-2018/2682-mystery-ranch-introduces-blackjack.html
画像中央下に写っているこのパック、一見RATSにStick-itを付けたような外観です。
しかし、プレートにはモデル名の記載がありません。
https://twitter.com/scottgourley1/status/955876092757270528?s=21
こちらにも映っていますが、正体は不明でした。
しかし、今回運良く撮影する事が出来ましたので詳細をお届けします。
というわけでいきなりフロントビュー。
間違いなくSHOT SHOWのパックです。
RATSとの比較。
RATSにはあった下部のポケットはなく、高さが低い分やや小ぶりな印象です。
Stick-itを開くと、このパックがRATSと全く違う事が分かります。
前面にポケットはなく、代わりにMOLLEが縫い付けられています。
シアーポケットとターニケットバンドはRATSと同じです。
パック前面が一気に開くラピッドアクセスの構造はRATSと変わりません。
内部にはRATSとは異なる細長いポーチが5つ、ゴムバンドのついたパネルが1つ付属しています。
ポーチ内部にもゴムバンドがあり、こんなちっこいメディカルアイテムあるか?という疑問はさておきこれまでのメディカルポーチとは違ったアプローチのものである事がわかります。
RATSには入っていたIV(点滴)用の細長いポーチはなく、上からぶら下げられるといったギミックも付いていません。
また、側面内側にはスプリントを収納できるポケットが左右にひとつづつ。
RATSでは内部と外部に2箇所づつあるので、簡素化されているのがわかります。
そのほかには前面内側に廃棄物用のポケット、側面に予備のシアーポケットという構成はRATSと同じです。
トップリッド内のポケットもゴムバンド付きでRATSと同じ作りです。
衝撃的なリアビュー。
これまでのどのMysteryRanchのハーネスとも違うタイプです。
なんと言っても目を引くのは中央のMOLLEパネルでしょう。
このパネルはご覧のようにベルクロになっており、恐らくボディアーマーの背中に固定して使用する物だと思われます。
必要になった際はパックごと脱着可能という寸法なのでしょうか。
ハーネスは金属のバックルで引っ掛ける様に留まっていて、写真の様に取り外す事が可能です。
交換用と思われるパッドの無いストラップのみのパーツが付属しますが、使用方法は不明。
Stick-itを外すとコンパクトな印象が更に増します。
残念ながらパック本体にはどこを探してもタグは見つからず。
付属品は全てPIモデルなので、本体もおそらくはPIモデルと考えられます。
タグがない代わりにこんなものが。
初めて見ましたが、SAMPLEと書かれたカード、、。
内容を見る限り本体というよりStick-itについてのカードの様ですが、気になる一文が。
Notes: goes with EX MOLE
つまり、EX MOLEなる製品と一緒に出荷という事ですから、今回のパックがEX MOLEという事になります。
EXは試作品的な意味で使われているのを他の分野でも見かけるので、正式名称はMOLE(もぐら)。
(追記:EXはアメリカ国外製造モデルの頭につけられるもののようです。)
最初はMOLLEのスペルミスではと思いましたが、MOLE RATSでハダカデバネズミという意味らしいのでおそらく韻を踏んだのだと思われます。ハダカデバネズミと聞くと急に可愛げがなくなりますが、そっとしておく事にしましょう(笑
全体の印象は非常に簡素化されたRATSという感じで、医療用アイテムの収納力はRATSほど高くなく、すでにRATSがある以上このMOLE RATSがどういった需要を満たすのかはよくわかりません。
しかし、NICEフレームなどと組み合わせて大きなアイテムの運搬も視野に入れたRATSはバックパックそのものが約3.0kgと非常に重く、より簡素化されたメディカルパックを求める声が上がっても不思議ではありません。
その点、MOLE RATSはNICEフレームへの対応もFuturaシステムさえも捨て去り、約2.2kg(Stick-it付きで2.4kg)と800g近く軽量化に成功しています。
MysteryRanchTokyoで拝む事のできるプロトタイプたちの中にも軽量化を目指したモデルは多く存在するらしく、このMOLE RATSもそうした軽量化プロトタイプのひとつなのかもしれません。
ちなみにこのパックはあるヨーロッパの軍に納品されたそうですが、2つ納品されたうちのひとつはテスト後に廃棄されたそうです。もったいね〜。
さて、今回はMOLE RATS(仮)をご紹介しました。
このパックが販売されるのかは不明ですが、EDCシリーズ以外でハーネスへのこだわりを捨て去ったというMysteryRanchにとってはある意味ターニングポイントとなるパックなのかもしれません。
[追記]
上記の記事は撮影後数ヶ月温めていたのですが、ちんたらしてるうちに2018年のミリタリーカタログに「MOLE」のモデル名で記載が!
やはりボディアーマーへの装着を想定したパックの様で、Futuraヨークを擁するMysteryRanchが取ってつけた様なショルダーストラップを"comfortable"と表現する違和感はさておき、"via"が"vai"になってるあたりやっぱりモデル名もスペルミスなのではと思わせる緩さは依然健在のようです。
MOLEはMysteryRanch.comにはまだ掲載されておらず、日本への入荷も現時点では不明です。