MILITARY LIGHT FRAME
今回は先日ご紹介したBlackJackに付属するMysteryRanchの「軍用」軽量フレーム、MilitaryLightFrame(MLF)について。
MLFは従来のNICEフレームの機能をほぼそのままに軽量化が図られた意欲作です。
以前の記事でも触れたように、従来のMysteryRanch製品は機能を優先するあまりに少なくともマスプロモデルでは大胆な軽量化は行われてきませんでした。
「これだけ重けりゃ高いのも納得!」的な迷言も飛び出すなか、MysteryRanchは2015年にハンティング用軽量フレーム「GuideLightFrame:GLF」を発表したのを皮切りにラインナップの本格的な軽量化に乗り出してきました。
従来のNICEフレームはBVSのある・なしのみで軍用と民生用(狩猟用)が分かれていましたが、後述するようにMLFとGLFは構造的にもやや違うものとなりました。
また、MLFは他のNICEシリーズでも採用されるというわけではなく、当面はBlackjack専用品という位置付けになるようです。
従来のNICEフレームとの違いはなんといっても重量です。
MLFは約1.6kgと、従来のNICE BVSから800gほど軽量化されました。
GLFの1.4kgには及ばないものの、持った瞬間に「あ、軽いな」と実感できます。
軽量化に伴って変更された点としては、
・骨組みの間の布張りに肉抜きがなされてスケルトンな印象に。
・フレームにカーボンファイバーが用いられており、従来の「田」の字配置から「曲」の字配置に変わった。
・カーボンファイバーロッドは従来のグラスファイバーロッドの半分ほどの太さに。
・背面に付いていた何に使うのかよく分からないPALSが廃止された。
・フレーム上部左右両端に付いていた何に使うのかよく分からないバックルがなくなった。
・ショルダーハーネスの軟化。
・新型BVSの採用(後述)。
・ウェストベルトの構造が簡素化された(後述)。
といったところでしょうか。
・ショルダーハーネス
ショルダーハーネスは従来とさほど変わらない見た目ですが、握ってみるとだいぶ柔らかくなっているのがわかります。内部のプラ板が控えめなものになったためで、同社EDCシリーズのバックパックとさほど変わらない柔らかさになりました。
また、MQRB(MetalQuickReleaseBuckle)に代わって通常のMojaveバックルを用いた簡素なリリース機能が搭載されています。ただし、チェストストラップは従来のままのため、手順を間違えると大変危険です。
小生の拙いイラストで理解していただけるか分かりませんが、時に数十キロにも及ぶ重量が首にかかれば転倒したり意識を失う可能性すらあります。MQRBではなく、Mojaveを使用しているのはクイックリリースに使うなというメッセージなのでしょうか、、?
↑以前にもこの危険性は指摘していたのですが、MRのスタッフはこのブログを読んでいないのでしょうか?!(笑)
その他、アリスパックことLC-1など往年の軍用パックに用いられている金属製のバックルがショルダーパッド下端に縫い付けられています。
使途不明ですが、軽量化を目指している同フレームにわざわざ金属製の重いバックルをつけるあたり、どうしても付けたい理由があったのでしょうか。
BlackJackは空挺作戦も想定したパックのようなのでそうした用途のためのものなのかもしれません。
ちなみにハーネス用のストラップは断端が縫い返されているので金属のバックルに通すことはできません。
・BVS
Danaの好物、BVSは約5年ぶりのリニューアル。
近年の健康志向を受けてか、22cm弱あった長さは13cmにサイズダウン。
小型化によりベンチレーションを見込んだ?3つの穴は無くなってしまいました。
ミリフォトなどでも良い目印だったのですが残念です。
・ウェストベルト
ウェストベルトは内側のパッドのボリュームはそのままに、PALSの廃止、ストラップ締め上げ方向の変更が行われました。
個人的にGOODな点はウェストパッドを短く折りたたむことができるようになった点。折り返してゴムバンドで留めるだけという単純なものですが、パックを倒して置く際に従来より座りがよくなりました。
NICEフレームでもパッドを付けない状態でなら折りたたむことが可能でしたが、このサイズのパックでウェストベルト無しはありえないので、一時的に収納できるこの機能は大変重宝しそうです。
逆にBADな部分はバックル。
GLFの紹介でも触れましたが、小さい上に保持する部分が少ないために嵌める際にハンドリングしづらいうえに指を挟みそうになります。
もちろん、バックルが気に入らなければ交換することも可能です。
外し方はやや複雑なので忘れないようにしなければなりません。
バックルだけであればここまでで外れますが、ウェストパッドごと外す場合はさらにバックルを外していかなければいけません。
ストラップをまとめておくゴムバンドをはずし、、、
やっとウェストパッドとウェストパネルの基部が分離します。
ここまで分解するとわかりますが、MLFのウェストベルトはNICEやGLFとは全く異なる構造になっていることがわかります。
非常にシンプルな構造ですが、効果的なパッドの形状を作り出しています。
ウェストパッドをランバーパッドから引っこ抜くとタグが現れます。
こんなところにあったのかよ!
従来のペラペラした付け方よりはマシですが、拝むためには手間がかかります。
タグの表示は2017年の9月11日(!)の米国製、BN#は「BC50-◯◯◯◯-◯◯◯」。
「MLF」は一文字も入っていません笑。
Blackjackのタグも「BC50」でしたので、Blackjack Coyote-brownってことなんでしょうか?ぜひMultiCamのタグも見てみたいものです。
また、パックからヨーク、ウェストパッドまで同一のBN#ということからこの「MLF」一式はBlackjackのために作られたことが予想できます。
ちなみにウェストパネルはランバーパッドに折り込むことができます。
NICEシリーズを普段使いしようというフレンズには便利な機能ではないでしょうか。
・NICEシリーズとの互換性
気になるのはNICEシリーズのパックとの互換性ですが、試しにOverload 3ZIPを取り付けてみました。結論から言うとなんの問題もなくセッティングが可能です。
GLFで問題となったバックル周りについてはNICEフレームと同じ構成となったため、MLFでは問題となりませんでした。
以上、MysteryRanchの新しい軽量フレームMilitaryLightFrameをご紹介しました。
数日前にMysteryRanchのHPが更新され、ミリタリーモデルが軒並みリニューアルされました。その中でBVS採用モデルではMLFと同じ新型のBVSが採用されていることが確認できます。
一方で、NICEフレーム採用モデルには写真を見る限りMLFは採用されておらず、従来のNICEフレームに新型BVSを組み合わせたフレームであることが確認できます。
従来のNICEシリーズは現在では日本国内で手に入れることが可能ですが、Blackjackは今の所取り扱いがありません。MLFがBlackjack専用品と位置付けられているのであれば、Blackjackが国内販売されない限り入手には苦労しそうです。
MysteryRanch MLF: ☆☆
☆☆☆☆☆ 情報が乏しく、モデル名・使用用途が不詳な物。
☆☆☆☆ カタログに記載はないが、ネット上に情報のある物。
☆☆☆ 過去カタログに記載されていたが廃盤となった物。
☆☆ 現行品だが国内での入手が難しい物。
☆ 正規取扱店で入手が可能な物。
★ 別注・限定品。