MYSTERY RANCH Maniac

ミステリーランチの研究ブログ

MysteryRanchにおけるMultiCamウェビング

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MultiCamのウェビング(テープ)についておもしろいコメントを頂きましたので、ちょっとだけ掘り下げてみたいと思います。

 

きっかけは、Kaitaiyaさんから頂いたコメントから。

BLACKJACK 50 - MYSTERY RANCH Maniac

はじめまして、(中略)当方は少し前のテープがジャガード織マルチカムテープになった直後のパックを数年使用してきたのですが、普通はこういったテープ類の素材は「ナイロン」が使われているのが普通のはずですが、このジャガード織マルチカムテープだけは素材が「ポリエステル」だったようで、使用中にこのテープ類の痛みや劣化だけ、早かったのです。よって、最近までハンティングシリーズにラインナップされていた「マルチカムモデル」はジャガード織でない、恐らくナイロン仕様のものが採用されていたようなんですが、それも無くなってしまったんですが、そこに新たに、Spear やBlack Jackといった、また新たに「ジャガード織マルチカムテープ」を採用したモデルが出てきたものですから、果たして、このマルチカムのテープの素材は何なんだろう・・・という事に、非常に興味があるのですね。もし、情報をお持ちでしたら、是非教えて頂けるとありがたいです。よろしくお願い致します。

 

コメントありがとうございます、、。

こういったファブリックに関する事は個人的に非常に興味深い点です。

 

Jacquard Woven VS Printed

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MultiCam柄のウェビング。上がジャガード織タイプ、下がプリントタイプ。

 

MultiCamに限らずカモ界隈では常識なのかもしれませんが、迷彩柄ウェビングには、ジャガード織とプリントの二種類があります。

写真では分かりにくいですが、両者の違いとしてはジャガード織タイプが一本一本の糸の色でパターンを再現しているのに対し、プリントタイプは白い無地のウェビングに印刷するかたちでパターンを再現しています。そのため、プリントタイプではウェビングの端に生地の白色が見えるのが特徴で、表だけプリントしたものと両面にプリントを施した2タイプが存在します。

 

MultiCamの権利を有するCrye Precision社のサイトによれば、ジャガード織タイプのものをMurdock Webbing Co.が、プリントタイプをMMI TextilesとTexcel Inc.がそれぞれ製造のライセンスを受けているようです。ただ、過去ライセンスを受けていた企業が他にある可能性には注意が必要です。

 

素材についてはMMI TextilesのプリントタイプはINVISTA社のCORDURAを使用していると紹介されており、Texcel Inc.は不明ながらいずれもA-A-55301(旧MIL-W-43668)あるいはMil-W-17337に準拠したナイロン製であると考えられます。

※MMI Textilesのプリントウェビングは側面の白い生地色を抑える加工が為されており、現在は容易に区別可能なようです。 

 

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上が17337でMR製品ではコンプレッションやPALSなどに使用されている。下は55301でNICEフレームのショルダーストラップに用いられている。多分。

 

問題はMurdock Webbing Co.のジャガード織タイプのものです。公式サイトには材料についての明確な記述はなく、A-A-55301に準拠とのみ書かれています。

じゃあナイロン製なのかというとそうでもなく、A-A-55301ではnyron (or similar)となっており確実にナイロンでなければならないわけでもなさそうなのが悩みどころ。

海外のファブリック問屋でもMurdock製と銘打ってあるものでさえNylonとPolyesterが混在しており、結局どっちなんだよ状態。一方、日本国内の問屋は一貫してポリエステル説を採用しており、日本人としてはKaitaiyaさんのおっしゃる様にポリエステル説を信じたいところです。

まあ、Murdockに直接問いあわせろよって話なんですが(笑)

 

MultiCam fabrics in MysteryRanch products

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MRのMultiCam製品の例。左からHi-Dice(2009)、Wolf-Hound(2010)、Overload 3ZIP(2013)。

あまり軽率にMultiCamを連呼するとMultiCam警察に逮捕されてしまいそうなのですが、今回はウェビングがテーマなので許してもらいましょう(笑)

シニアランチャーのみなさんであればご存知でしょうが、10年ほど前までMysteryRanchのCoyoteとMultiCamにつくストラップとバックルの色はTanカラーでした。お持ちのパックが写真左のHi-Diceのような色の組み合わせだった場合はほぼ間違いなく2010年より前のモデルです。

以下のリンクでも2009年当時のラインナップを見ることができます。

Mystery Ranch 3 Day Assault Pack ミステリーランチ 3デイアサルトパック | UTILITY Outdoor Select Shop

 

その翌年、Coyoteモデルのストラップの色がより深いCoyote色へと仕様変更された際に、おそらくMulticamのストラップも写真中央のWolf-Houndの様にプリントタイプのウェビングに変更されたものと思われます。

↓こちらは2012年の記事ですが、このころの3DAP CoyoteはTanカラーのバックルにCoyote色のウェビングでした。

KEN'S STYLE: MYSTERY RANCH

↓こちらでは2011年製の3DAP MultiCamについて取り上げており、プリントタイプのウェビングになっていることがわかります。

webbingbabel: Mystery Ranch 3 Day Assault Pack Multicam

また、同じ頃にはオーストラリア軍に3DAPが採用されたということが話題になっていました。

webbingbabel.blogspot.com

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11年から12年にかけて製造されたオーストラリア軍向け3DAP BVS。ベトナム製でトップリッドにBozeman MT USAの文字はない。

写真を見ると、このオーストラリア向け3DAPではすでにプリントタイプとジャガート織タイプのウェビングが混在していたことがわかります。

Murdock Webbing Co.のジャガード織MultiCamウェビングが登場したのは2011年のこと。

Murdock Webbing Introduces MultiCam Jacquard Weave Webbing - Soldier Systems Daily

 以下の記事は2012年のものですが、やはりジャガード織のウェビングについて言及しています。

REALMENT:REALMENT-Multicam-Tape

 

これらの資料からは、MysteryRanchは2010年頃にプリントタイプのウェビングを使い始めたものの、早くも2011年頃からは当時最新のMurdock製ジャガード織ウェビングを採用していたことがわかります。

そして、2013年頃にはバックルもブラウン色になり写真右のような配色となりました。

(ただ、製造年は不明ながら2014年頃まではTan色のバックルをつけたものが混在して出荷されていた様です。)

 

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左は2010年、右は2012年製のMultiCamヨーク。右はジャガード織ストラップになってるが、バックルの一部はTanのままだ。

 

Durability of Jacquard Woven Webbing

さて、発表から現在に至るまでMysteryRanch製品に採用されているジャガード織タイプですが、その耐久性はどうなのでしょうか。

じつは、先ほどの写真にあった2013年製のOverload 3ZIPにヒントがありました。

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 このOverloadは製品化されなかった試作品と思われ、全体に使用感は少ないにも関わらずご覧の様に端が毛羽立っています。この他のストラップも同じようにダメージがありました。

2009年製のHi-Diceなどは、戦場でガシガシ使われたらしく綺麗な個体はなかなかお目にかかれません。それでもここまでウェビングにダメージを負っているものは見たことがありません。

Overloadシェルフで非常に鋭利なものを運んだ可能性はありますが、Kaitaiyaさんがおっしゃる様にジャガード織タイプはややスレに弱いということを念頭に置かなければならないようです。

 

What's next?

では、現在のカモラインナップはどうなっているのでしょう。

実は、MysteryRanchのハンティングラインでは(Kaitaiyaさんの見解と食い違ってしまうのですが)カモ柄のウェビングは採用されていません。価格を抑える為なのか、アメリカの輸出規制に引っかかるのかはわかりませんが、全て単色のウェビングに統一されています。

一方、ミリタリーラインはというと色々調べてみましたが今日に至るまでジャガード織タイプのウェビングが使用されている様です。

レビューなどを見る限り、最新のBlackJackパックでもジャガード織タイプが使用されているようですがバックルの種類が異なっている部分が気になります。

また、MultiCamモデルにはBlackJackとして販売する前のプロトタイプ(SpearPack)が存在しており、以下のShotShow2017の動画で確認できるほか一時中古品が出回ってもいました(あまりの汚さに手を出せませんでしたが、、)。

 

mysteryranch.hatenablog.com

 

ということで、今回はMysteryRanchにおけるMultiCamウェビングの歴史を可能な限り紐解いてみましたが、なにぶんMultiCamをあまり持ったことがないもので間違っている部分も多々あるかと思います。なんせ全部妄想ですから。

ちげえよ!ってところがありましたらコメント欄にてお願いします(汗)

 

おまけ

 

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シンガポールの代理店が別注販売しているPencottGreenZone仕様の1DAP。2015年製だがウェビングはプリントタイプ。

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2011年製のOptifade-OpenCountry。2011年にも関わらずウェビングはジャガード織タイプ。



 

 

 

Watershed OTB 75 Backpack

高い防水性を有する特殊なバッグを製造する米国WATERSHED社がMysteryRanchとのコラボ商品を発売するようです。

 ソースは以下から。

 

S&S Precision Shop Show - Watershed OTB 75 Backpack, Transit Duffel & WIP Sneak Peak - Soldier Systems Daily

 

もともとウォータースポーツ向けの防水バッグを販売していた同社ですが、2000年にNavy SEALs向けにドライバッグを供給して以来、軍用の防水バッグをラインナップし続けています。

 

www.instagram.com

 

今回予告されたバッグは75Lとかなり巨大で、GLACIERやMETCALFよりも大型の荷室を備えていることになります。

OTBは、Over The Beach:上陸作戦の意味と思われ、マルチカム&PALSびっしりの外観は同社のこれまでのどの製品よりも軍用感漂うものになっています。

 

特徴としてはNICEやMLFなどのフレームシステムに適合すること、DaypackLidを装着するバックルがついていること(DaypackLidも付属するらしい)、フィンを収納するためのメッシュポーチが付属するらしいこと、などなど。

 

軍用としては非常に限られた用途向けのこうしたソフトシェルな防水バックパックですが、ウォータースポーツやレジャーの界隈では非常にメジャーな存在。その防水バッグがNICEフレームと完全に一体化できるとなれば、SEALsでなくとも欲しくなること間違い無しです(多分)。

願わくばゴリゴリのマルチカムだけでなく、ブラウン系とかグレー系もラインナップしてくれれば、、、。

 

MysteryRanchとコラボした防水バッグといえば、MATBOCKのMr.Dryが思い出されますが、あちらが内部のバックルやジッパーでバックパックと完全に固定して「防水カバー」のように用いるコンセプトなのに対して、こちらのOTB 75はプレスリリースを読む限り、内外にPALSの穴が用意されているだけでバックパックを固定できるのかは不明です。

 

www.instagram.com

 

ちなみに件のMR.Dryはいつの間にやらMR.Dry IIにアップデートされ、Futuraヨーク対応だった初代からOTB 75同様、NICE/MLFフレーム対応モデルとなっています。

 

Ft Bragg Warfighter Expo - MATBOCK MR Dry 6500 - Soldier Systems Daily

 

こちらはS,M,Lの3サイズ展開ですが、フレーム込みで1000ドルオーバーの高級品にも関わらずどのサイズがどのパックに対応するのかはおろか、何Lなのかすら記述のない相変わらずのどんぶり販売。3サイズ3カラー展開で9種類のはずが「6種類用意したぜ!」と書かれていたりなにがなにやら状態、、、。

 

OTB 75はもう少しマシな売り方をされると信じたいところです。

 

 

ともあれ、使い慣れたMRのバックパックを防水化するか、MRのフレームに最適化された防水バッグを使うのか、そもそもそんなものを使う事はあるのか、悩みの種が増えることになりそうです。

MOLE RATS?

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今回は今年1月に行われたSHOT SHOW 2018にて展示されていた謎のバックパックについて。

 

 

事の発端は以下から。

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http://www.monch.com/mpg/news/shot-show-2018/2682-mystery-ranch-introduces-blackjack.html

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画像中央下に写っているこのパック、一見RATSにStick-itを付けたような外観です。

しかし、プレートにはモデル名の記載がありません。

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https://twitter.com/scottgourley1/status/955876092757270528?s=21

こちらにも映っていますが、正体は不明でした。

しかし、今回運良く撮影する事が出来ましたので詳細をお届けします。

 

 

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というわけでいきなりフロントビュー。

間違いなくSHOT SHOWのパックです。

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RATSとの比較。

RATSにはあった下部のポケットはなく、高さが低い分やや小ぶりな印象です。

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Stick-itを開くと、このパックがRATSと全く違う事が分かります。

前面にポケットはなく、代わりにMOLLEが縫い付けられています。

シアーポケットとターニケットバンドはRATSと同じです。

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パック前面が一気に開くラピッドアクセスの構造はRATSと変わりません。

内部にはRATSとは異なる細長いポーチが5つ、ゴムバンドのついたパネルが1つ付属しています。

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ポーチ内部にもゴムバンドがあり、こんなちっこいメディカルアイテムあるか?という疑問はさておきこれまでのメディカルポーチとは違ったアプローチのものである事がわかります。

RATSには入っていたIV(点滴)用の細長いポーチはなく、上からぶら下げられるといったギミックも付いていません。

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また、側面内側にはスプリントを収納できるポケットが左右にひとつづつ。

RATSでは内部と外部に2箇所づつあるので、簡素化されているのがわかります。

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そのほかには前面内側に廃棄物用のポケット、側面に予備のシアーポケットという構成はRATSと同じです。

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トップリッド内のポケットもゴムバンド付きでRATSと同じ作りです。

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衝撃的なリアビュー。

これまでのどのMysteryRanchのハーネスとも違うタイプです。

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なんと言っても目を引くのは中央のMOLLEパネルでしょう。

このパネルはご覧のようにベルクロになっており、恐らくボディアーマーの背中に固定して使用する物だと思われます。

必要になった際はパックごと脱着可能という寸法なのでしょうか。

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ハーネスは金属のバックルで引っ掛ける様に留まっていて、写真の様に取り外す事が可能です。

交換用と思われるパッドの無いストラップのみのパーツが付属しますが、使用方法は不明。

 

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Stick-itを外すとコンパクトな印象が更に増します。

 

残念ながらパック本体にはどこを探してもタグは見つからず。

付属品は全てPIモデルなので、本体もおそらくはPIモデルと考えられます。

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タグがない代わりにこんなものが。

初めて見ましたが、SAMPLEと書かれたカード、、。

内容を見る限り本体というよりStick-itについてのカードの様ですが、気になる一文が。

Notes: goes with EX MOLE

つまり、EX MOLEなる製品と一緒に出荷という事ですから、今回のパックがEX MOLEという事になります。

EXは試作品的な意味で使われているのを他の分野でも見かけるので、正式名称はMOLE(もぐら)。

最初はMOLLEのスペルミスではと思いましたが、MOLE RATSでハダカデバネズミという意味らしいのでおそらく韻を踏んだのだと思われます。ハダカデバネズミと聞くと急に可愛げがなくなりますが、そっとしておく事にしましょう(笑

 

 

全体の印象は非常に簡素化されたRATSという感じで、医療用アイテムの収納力はRATSほど高くなく、すでにRATSがある以上このMOLE RATSがどういった需要を満たすのかはよくわかりません。

しかし、NICEフレームなどと組み合わせて大きなアイテムの運搬も視野に入れたRATSはバックパックそのものが約3.0kgと非常に重く、より簡素化されたメディカルパックを求める声が上がっても不思議ではありません。

その点、MOLE RATSはNICEフレームへの対応もFuturaシステムさえも捨て去り、約2.2kg(Stick-it付きで2.4kg)と800g近く軽量化に成功しています。

MysteryRanchTokyoで拝む事のできるプロトタイプたちの中にも軽量化を目指したモデルは多く存在するらしく、このMOLE RATSもそうした軽量化プロトタイプのひとつなのかもしれません。

ちなみにこのパックはあるヨーロッパの軍に納品されたそうですが、2つ納品されたうちのひとつはテスト後に廃棄されたそうです。もったいね〜。

 

 

さて、今回はMOLE RATS(仮)をご紹介しました。

このパックが販売されるのかは不明ですが、EDCシリーズ以外でハーネスへのこだわりを捨て去ったというMysteryRanchにとってはある意味ターニングポイントとなるパックなのかもしれません。

 

 

[追記]

上記の記事は撮影後数ヶ月温めていたのですが、ちんたらしてるうちに2018年のミリタリーカタログに「MOLE」のモデル名で記載が!

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やはりボディアーマーへの装着を想定したパックの様で、Futuraヨークを擁するMysteryRanchが取ってつけた様なショルダーストラップを"comfortable"と表現する違和感はさておき、"via"が"vai"になってるあたりやっぱりモデル名もスペルミスなのではと思わせる緩さは依然健在のようです。

MOLEはMysteryRanch.comにはまだ掲載されておらず、日本への入荷も現時点では不明です。

MILITARY LIGHT FRAME

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今回は先日ご紹介したBlackJackに付属するMysteryRanchの「軍用」軽量フレーム、MilitaryLightFrame(MLF)について。

 

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MLFは従来のNICEフレームの機能をほぼそのままに軽量化が図られた意欲作です。

以前の記事でも触れたように、従来のMysteryRanch製品は機能を優先するあまりに少なくともマスプロモデルでは大胆な軽量化は行われてきませんでした。

「これだけ重けりゃ高いのも納得!」的な迷言も飛び出すなか、MysteryRanchは2015年にハンティング用軽量フレーム「GuideLightFrame:GLF」を発表したのを皮切りにラインナップの本格的な軽量化に乗り出してきました。

mysteryranch.hatenablog.com

 

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2013年モデルのNICE BVS(右)との比較。大胆な肉抜きが施されている。

従来のNICEフレームはBVSのある・なしのみで軍用と民生用(狩猟用)が分かれていましたが、後述するようにMLFとGLFは構造的にもやや違うものとなりました。

また、MLFは他のNICEシリーズでも採用されるというわけではなく、当面はBlackjack専用品という位置付けになるようです。

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2013年モデルのNICE BVS(右)との比較。BVSの大きさの違いに注目。

従来のNICEフレームとの違いはなんといっても重量です。

MLFは約1.6kgと、従来のNICE BVSから800gほど軽量化されました。

GLFの1.4kgには及ばないものの、持った瞬間に「あ、軽いな」と実感できます。

 

軽量化に伴って変更された点としては、

・骨組みの間の布張りに肉抜きがなされてスケルトンな印象に。

・フレームにカーボンファイバーが用いられており、従来の「田」の字配置から「曲」の字配置に変わった。

・カーボンファイバーロッドは従来のグラスファイバーロッドの半分ほどの太さに。

・背面に付いていた何に使うのかよく分からないPALSが廃止された。

・フレーム上部左右両端に付いていた何に使うのかよく分からないバックルがなくなった。

・ショルダーハーネスの軟化。

・新型BVSの採用(後述)。

・ウェストベルトの構造が簡素化された(後述)。

といったところでしょうか。

 

・ショルダーハーネス

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ショルダーハーネスは従来とさほど変わらない見た目ですが、握ってみるとだいぶ柔らかくなっているのがわかります。内部のプラ板が控えめなものになったためで、同社EDCシリーズのバックパックとさほど変わらない柔らかさになりました。

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また、MQRB(MetalQuickReleaseBuckle)に代わって通常のMojaveバックルを用いた簡素なリリース機能が搭載されています。ただし、チェストストラップは従来のままのため、手順を間違えると大変危険です。

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チェストストラップを外さずにハーネスを解放すると首に引っかかり危険だ。

小生の拙いイラストで理解していただけるか分かりませんが、時に数十キロにも及ぶ重量が首にかかれば転倒したり意識を失う可能性すらあります。MQRBではなく、Mojaveを使用しているのはクイックリリースに使うなというメッセージなのでしょうか、、?

mysteryranch.hatenablog.com

 ↑以前にもこの危険性は指摘していたのですが、MRのスタッフはこのブログを読んでいないのでしょうか?!(笑)

 

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その他、アリスパックことLC-1など往年の軍用パックに用いられている金属製のバックルがショルダーパッド下端に縫い付けられています。
使途不明ですが、軽量化を目指している同フレームにわざわざ金属製の重いバックルをつけるあたり、どうしても付けたい理由があったのでしょうか。

BlackJackは空挺作戦も想定したパックのようなのでそうした用途のためのものなのかもしれません。

ちなみにハーネス用のストラップは断端が縫い返されているので金属のバックルに通すことはできません。

 

・BVS

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新型BVS。従来のBVSに比べかなり小型化された。

 

Danaの好物、BVSは約5年ぶりのリニューアル。

近年の健康志向を受けてか、22cm弱あった長さは13cmにサイズダウン。

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新型BVSも従来同様、取り外すことが可能。

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 小型化によりベンチレーションを見込んだ?3つの穴は無くなってしまいました。

ミリフォトなどでも良い目印だったのですが残念です。

メガネごっこもできなくなりました。

 

・ウェストベルト

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ウェストベルトは内側のパッドのボリュームはそのままに、PALSの廃止、ストラップ締め上げ方向の変更が行われました。

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ウェストパッドは折り返して固定することが可能。

個人的にGOODな点はウェストパッドを短く折りたたむことができるようになった点。折り返してゴムバンドで留めるだけという単純なものですが、パックを倒して置く際に従来より座りがよくなりました。

NICEフレームでもパッドを付けない状態でなら折りたたむことが可能でしたが、このサイズのパックでウェストベルト無しはありえないので、一時的に収納できるこの機能は大変重宝しそうです。

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GLFと同じバックル。どうも好きになれない、、

逆にBADな部分はバックル。

GLFの紹介でも触れましたが、小さい上に保持する部分が少ないために嵌める際にハンドリングしづらいうえに指を挟みそうになります。

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もちろん、バックルが気に入らなければ交換することも可能です。

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外し方はやや複雑なので忘れないようにしなければなりません。

バックルだけであればここまでで外れますが、ウェストパッドごと外す場合はさらにバックルを外していかなければいけません。

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ストラップをまとめておくゴムバンドをはずし、、、

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やっとウェストパッドとウェストパネルの基部が分離します。

ここまで分解するとわかりますが、MLFのウェストベルトはNICEやGLFとは全く異なる構造になっていることがわかります。

非常にシンプルな構造ですが、効果的なパッドの形状を作り出しています。

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ウェストパッドをランバーパッドから引っこ抜くとタグが現れます。

こんなところにあったのかよ!

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従来のペラペラした付け方よりはマシですが、拝むためには手間がかかります。

タグの表示は2017年の9月11日(!)の米国製、BN#は「BC50-◯◯◯◯-◯◯◯」。

「MLF」は一文字も入っていません笑。

Blackjackのタグも「BC50」でしたので、Blackjack Coyote-brownってことなんでしょうか?ぜひMultiCamのタグも見てみたいものです。

また、パックからヨーク、ウェストパッドまで同一のBN#ということからこの「MLF」一式はBlackjackのために作られたことが予想できます。

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ちなみにウェストパネルはランバーパッドに折り込むことができます。

NICEシリーズを普段使いしようというフレンズには便利な機能ではないでしょうか。

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パーツをすべて取り外したMLF。ヨークを含めて1.3kgまで軽量化できる。

 

・NICEシリーズとの互換性

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人生2つ目のMR、Overload 3ZIP PI。なぜかUSAのワッペンつき。

気になるのはNICEシリーズのパックとの互換性ですが、試しにOverload 3ZIPを取り付けてみました。結論から言うとなんの問題もなくセッティングが可能です。

GLFで問題となったバックル周りについてはNICEフレームと同じ構成となったため、MLFでは問題となりませんでした。

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Overloadシステムもこの通り、装着可能。

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Blackjack50用のトップリッドもシンデレラフィット。Skiritaiを彷彿とさせる。

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折りたたみ可能なウェストベルトのおかげで電車の荷物棚にも入りやすくなったか。

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ウェストベルトとBVSを外した状態。軽い荷物ならあり?

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以上、MysteryRanchの新しい軽量フレームMilitaryLightFrameをご紹介しました。

数日前にMysteryRanchのHPが更新され、ミリタリーモデルが軒並みリニューアルされました。その中でBVS採用モデルではMLFと同じ新型のBVSが採用されていることが確認できます。

一方で、NICEフレーム採用モデルには写真を見る限りMLFは採用されておらず、従来のNICEフレームに新型BVSを組み合わせたフレームであることが確認できます。

従来のNICEシリーズは現在では日本国内で手に入れることが可能ですが、Blackjackは今の所取り扱いがありません。MLFがBlackjack専用品と位置付けられているのであれば、Blackjackが国内販売されない限り入手には苦労しそうです。

 

 

 MysteryRanch  MLF: ☆☆
☆☆☆☆☆ 情報が乏しく、モデル名・使用用途が不詳な物。
☆☆☆☆ カタログに記載はないが、ネット上に情報のある物。
☆☆☆ 過去カタログに記載されていたが廃盤となった物。
☆☆ 現行品だが国内での入手が難しい物。
☆ 正規取扱店で入手が可能な物。
★ 別注・限定品。